エンジンオーバーホール&バルブタイミングの調整


今回、2005FIAT 124 CLUB JAPAN 発足の秋のツーリングに合わせて?!エンジンのオーバーホールを兼ねてエンジンのチューニングを行いました。

 いままではFIAT リトモ 130TC のエンジンを軽くクリーニングして乗せておりましたが、自分の中のもう一人の自分(悪魔)がさらなる力を与えよと囁きました。エンジンスタンドに無造作に取り付けてある124のエンジンを毎日見るうちに、綺麗にしなきゃなぁ〜なんて言いながら分解したのが運の尽きでした。
 
1. 現状把握 
 まずはヘッドを外しシリンダ内面を確認します。 やっぱりというか縦にうっすら傷があります、この年式にしてはまずまずな方ですがやっぱり綺麗にしたいと思わせる状態でした。
 次にオイルパンを外しオイルポンプを取り外します。オイルポンプについてるストレーナーには異物等は無くほっと一安心しました。 クランクキャップボルト、コンロッドキャップボルト等々を外しコンロッド、クランク、ピストン等を取り外します。 外した後にコンロッド、クランクのメタルを確認したところ要交換状態でした。 見た目&測定した感じではメタル交換のみで何とかなりそうです。
 オイルポンプ駆動用のAUXシャフトを抜き取りメタルを確認したところ、こちらはそのまま使えそうです。


2. 部品発注&加工依頼
 まずはスリーブをホーニングする関係で、ただホーニングするだけじゃ意味無い!?なんて考えで、オーバーサイズのハイコンプピストン(84.4mm圧縮比9.8:1)を発注します。これに合わせてクランクのメタルも発注します、傷も入っているし調整しやすいかと思ってオーバーサイズのメタルを注文したのですが、内燃機屋さんにいったらスタンダードで十分だと言われ再発注する羽目になりました・・・(部品発注をする前に加工屋さんに相談したほうが間違いなさそうです)

3. 部品重量合わせ&組み付け
 加工に出している間にコンロッド、ピストン等の重量合わせを行います。ノーマル状態でピストンで5g、コンロッドで5g程度の重量誤差がありましたので、これを出来るだけ少なくします。0.1gまで量れるデジタルはかりで誤差を0.1g以下にしていきます。たったこれだけでかなりエンジンのレスポンスが良くなります。コンロッドやピストンを削るとき意外にダイナミックに削らないと重量が合わせられないので、バリ等をどんどん削って合わせましょう。

 組み付けに際して、124&130TCのピストンピンの留め金は外しにくくはめにくいので、注意深く作業しましょう。細長いドライバーを利用すると比較的簡単に作業できます。

 クランクキャップやコンロッドの締め付け等でプラスチゲージを用い、クリアランスを適正に持っていきながら組み付けます。自分の車両は基準値の真ん中より大きめで組み付けました(上までストレス無くまわるのを目指して?!)。
補機類等を取り付けどんどん組み付けていきます。
 今回ハイコンプピストン(9.8:1)を組み付けたので、ヘッドを載せるときに粘土等でバルブクリアランスを測定しつつ組み付けを行います。これを怠ると、最悪ピストンとバルブが当たりますので、車両に乗せる前に必ず確認します(ピストン、バルブ等を交換したりヘッドやブロックを面研した場合など)。
  
 クランクにコンロッド&ピストンを組むときには、取り付ける向きがありますので間違えないように取り付けましょう。
補器類等を取り付けた後ヘッド等を取り付けます。 その際にインテークとエキゾーストのバルブタイミングを計って組み付けます。
 今回はアメリカのIAP(international auto parts)から輸入したオートクロスカムを使用するため、いろいろ調整をします。

まずはカムホルダーにカムを入れ、4番の所にタペットホルダーとシムを入れ、最大リフト点を探します。 この際ダイアルゲージを用いるのですが、ダイアルゲージの最大リフトで探すのではなく、最大リフト前後の目盛りの中心(円度器で最大リフトから0.1〜0.2mm下がったところの平均値をとる)で位置決め&マーキングをします。
 

 


自作のプレートでダイヤルゲージのマグネットベースを固定しました。円度器も使い安さを考慮してスキャナでスキャンした画像を使いやすいサイズにリサイズしてパウチしたものを使っております。こうすると意外に使いやすくて作業がはかどります。
 角度測定用の針金はφ1〜2o程度のモノを使用しました。


 次は、クランク側の位置決めを行います。カムシャフト同様クランクプーリーに円度器をセットしてピストンの圧縮上死点を測定、マーキングします。このときも円度器を細工して38mmのコマが入るように穴を開けておくと作業がしやすいです。
今回はカムホルダーのボルト穴を利用してダイヤルゲージをセットし、4番の圧縮上死点を測定します。
  


 圧縮上死点測定用の針金を上の写真のようにセットしました。 この状態でカムシャフトの上死点を測定したときと同様にダイヤルゲージの前後の振れの中心角を上死点にします(仮想圧縮上死点に至る前のダイヤルゲージの数値が0.2mm前の円度器の角度と、仮想上死点を越えた後の0.2mmの時の円度器の角度を2で割った数値を中心角とする)
 圧縮上死点の位置でクランクプーリーにマーキングをします。 その後今回使用するカムの最大リフト角度(IN110° EX110°)の位置を円度器を利用してマーキングしておきます。

 カムをカムホルダーに組み付けた後、ヘッドに組み付けます。 
クランクを4番圧縮上死点の位置、オイルポンププーリーを指定の位置 (下図右のマークが同一直線上になるようにセット)に合わせ、IN、EXカムプーリーをカムホルダーの合いマーク(下図左)に合わせます。
 今回使用したクランクプーリー、オイルポンププーリーは130TC用、カムプーリーはイギリスのGUY CROFT というショップから購入した可変プーリーであるため、ノーマルの位置合わせを参考に各プーリーを所定の位置に合わせ、タイミングベルトを組み付けします。(下図は2000ccエンジンのため記載パーツとは一部違います)


 タイミングベルト組み付け後、ヘッドガスケットの厚さ変更とカムホルダー面研(ハイカムに変更したことによるタペットシムの厚さ調整を容易にするため)の調整をするためにカムプーリーを調整します。
 クランクプーリーを110°進めマーキングしたところに合わせ、その時にEX側のカムとカムホルダーに付けた合いマークを合わせます。スライドカムプーリーをうまく使って合いマークに合わせます。 この後さらにカムプーリーを回転しIN側の合いマークに合わせIN側のカムプーリーもEXと同様に位置決めを行います。
 クランクプーリーナットを回しやすくするために、点火プラグを4本とも抜いておくと回しやすいです。 微妙にクランクプーリーを前後回転させるためにカムプーリーにもメガネレンチをかけて回すと逆回転もラクに出来ます。(クランクプーリー単独で回すとタイミングベルトがずれることがあります)

この後クランクプーリーを合いマーク位置に合わせ(4番圧縮上死点の位置)各プーリーが合いマーク通りにあっていることを確認します。(カムとカムホルダーにも最大リフト点から作用角の1/2の位置に合いマークを打っておくと便利です。)
 このときにデスビを取り付け(外す前に合いマークを付けておくと始動時がラクです。)て次のステップに進みます。

 次にタペット調整をします。

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